ユーモア・センス

その昔、スコラ・コンサルトの風土改革の学習会で、先輩経営者の方が社員さんとの距離を縮める意図もあってか、「シャツをパンツの上にいれるか、下にいれるか」とか「水泳にいったら水着のパンツだけわすれた」なんてことを(パンツネタだけではないはずですが、たまたま記憶が、、、)ブログで発信されていた。それを受けてなのか、同世代の経営者の方も「だじゃれ千回会社を変える」というスローガンのもとに、毎朝の朝礼でだじゃれをいいつづける、という(涙ぐましい)努力をされていたりもした。学習会ではそんなことをやりなさいと一言も言っていないのだが、こうしたユーモアの組織への影響力をそれぞれの方が結構大事だとおもわれていたのだろう。

 私も昔社員旅行で、パーティーグッズのかつらをかぶって結構うけがよかったので味をしめ、その次の旅行にそうしたグッズをしこんでいったことがあったが、前のめりにすぎて「すべった」。その意味でユーモアとは、ねらうとうまくいかない、にじみ出るようなものだろう。

亡くなった先代の桂文治が父の贔屓で、私もファンになったのだが、晩年には登場する立ち振る舞いだけで観客から笑いをさそっていたのが圧巻だった。こうした手練れの落語の師匠方は、マクラなどでネタが「すべった」ときにも、それでもすべったことをとりあげて、逆に笑いに変えていったりするので、プレゼンスを含め、笑いというものは合気道のような気がする。

 「ユーモアは最強の武器である」(J・アーカー N・バグドナス著)は昨年出た書籍だが、米国はビジネススクールでこうした研究をやるところが一枚上手だ。その中に「喜劇は悲劇に時間を加えたものに等しい」とあった。失敗や挫折を繰り返す中で、その中のいくつが幾分癒やされて、やがて笑いの「ネタ」として昇華されるまでには、ある程度の人生の歩みが必要なのだろう。それでも、多かれ少なかれ墓場まで持って行く物もあるだろう。私自身もいくつかの自分の「恥」が周知の「恥」となっていく時に、走馬灯のように流れる年月が、それでも無意味に流れているのではないのだと思える瞬間になる。

その昔、ある人間関係で大変苦しんだ時期があった。人間関係というのは、ひとたびお互いがパターンにはまり込むと、まるで絡まった糸のように抜き差しならぬ関係におちいってしまうことがある。たまたま対話の手法を説くアサーティブネスの先駆者であるアン・ディクソン氏のワークショップがあったので、思い切って自分の悩みをうちあけた。彼女は他の参加者のように、相手への向き合いかたを教えてくれるのでなく、意外にも「そうね、とりあえず笑ってみる?」というインストラクションをくれた。

 私はその時に恥ずかしい気持ちを感じつつ公衆の面前で一人笑った。「なんとかしたいヨー、アッハッハ」と。そして笑いながら泣いた。すると、なぜか「ああ、人生こんなこともあるよな」と肩の荷が降りてそのがんじがらめの状態からようやく抜けられたのだった。そして、例えばレーガン大統領が、自身が手術の前に医師に向かって「ところで君たちは共和党員かね?」と聞いたという逸話などを聞くにつけても、周囲の緊張と自らの不安感といったすべてまとめて時空をひっくりかえすという、ユーモアの力に驚嘆する。

自分も「携帯をバスに忘れてバスの車庫まで電車でとりにいった、その帰りに電車に携帯を忘れた」とか、「慌ててトイレにいったら、社外の会議にトイレットペーパーの尻尾をつけながら参加した」とか(まだまだアルで)いくつか持ちネタはあるのだが、そう言いながらも自分の粗忽加減に微妙に心が痛む。その意味ではなかなかビジネスでの失敗を笑いにかえられるまでにいたっていない。その点、先輩経営者には厳しい状況すらユーモラスに語る方が何人もいらして、(もともとのセンスもあるのだろうが、)そうした在り方への憧れも感じる。この際、今はやりのGoogle先生ならぬChatGPT先生に聞いてみた。

Q.ユーモアセンスがなくてがっかりしています。

A.ユーモアセンスがないと感じてがっかりする気持ちはよく分かります。しかし、ユーモアセンスは練習によって向上させることができるので、あきらめずに取り組んでみてください。また、ユーモアセンスがなくても、他の人と違う視点や感性を持っていることもあるので、そこを活かすこともできます。自分自身に自信を持って、他の人と違った魅力的な人間になることも大切です。最後に、ユーモアは人間関係を円滑にするためにも大切な要素の一つですが、全ての人がユーモアに長けているわけではありません。自分らしさを大切にし、他人と比べることにこだわらず、自分自身を受け入れることが大切です。

Q.あなたはユーモアセンスを磨きたいですか?

A.私は機械学習によってプログラムされたAIであり、ユーモアセンスを持つわけではありません。ただ、ユーモアに関する知識や情報を提供することで、ユーザーのお役に立てるように努めています。

おお、慰められた。でも、まだ人間が活躍する余地がここにはあるのかな。GPT先生に鍛えてもらおう。

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