人から人へ受け継がれるもの

どうも、採用担当そです。

考えや教えは、人から人へ受け継がれるものだと思いますが、
多くの人が様々な人の影響や経験を経て自身の行動原理が構成されていくと思います。
その中でも私に多大な影響を与え、未だに話していると感情が込み上げてくるものがある思い出を話します。
私はつくづく良い縁に恵まれていると常々感じておりますが、その一つの出来事です。

それは私が高校二年生16歳の少年だったころまで遡ります。
埼玉県の高校に通っていた私は、夏休みになると、近所のプールの監視員をする傍ら、時折湘南の海にくりだす真っ黒な少年でした。

その日は、雲一つない晴天で、高校の同級生10人くらいとわざわざ沢山の荷物をもって電車で海に向かいました。
湘南の海に着き、ビーチで陣取っていると、後ろにスキンヘッドで小太りないかつい黒光りしたおじさんが一人でビール片手に鎮座してまして
そんなおじさんが気さくに話しかけてきたんですよね。
(話してくれた内容は忘れました。たしかどこから来たのかとかだった気が…。ただおじさんがボディボードをよくやりに来ていると話していたのは覚えております。)

そんなこんなで遊んでいると、たくさんの荷物を入れた海の家のロッカーのカギが手首に巻いてあったはずなのに、無くなってたんですよね。
海にも入ったし、いろんな所探索したしで大慌てで、探しましたが、結局のところ見つかりませんでした。

その旨を海の家に伝えたところ、罰金5,000円を徴収されてしまいました。
高校2年生の私にとっては、5,000円はそれなりの大金で、楽しかったひとときが一気に落ち込んでしまい、周りにも伝播していたと思います。
そんな感じで、とぼとぼと自分たちのレジャーシートまで戻っていると、スキンヘッドのおじさんが
「さっきまで元気だったのに、どーした?なんかあったのか」なんて話しかけてきたんですよね。
おじさんには事情を説明して、カギが落ちてなかったか聞いて、、、、
そしたらおじさんが、「いくら、海の家に取られたんだ?」、、、私「5000円ですね。。。。」
「よし、わかった。これ持ってけ」とおもむろに5,000円を私に差し出してきます。
これには当時の私はとてもびっくりして、「いや、受け取れないです。無くしたのは僕が悪いですし、おじさんは関係ないですし…」
なーんてバタバタしていると、

「あのな。若い奴はな。ありがとうございますって言って、貰っておけばいいんだよ。そんでな、もし誰かが困ったりしたら、そんときはお前がその誰かを助けてやればいいんだよ。なっ」

だから返さなくていいと、私に5,000円を突き返してきたのです。
なかば強制的に、5,000円を受け取ってしまった私。感謝の言葉を述べてそそくさと退散します。
その時は、見ず知らずの私にお金を渡してくるおじさんが不気味で、しょうがなく、当時の私は逃げるようにして帰ってしまったんですよね。

ただ、その時は不気味で印象的でしたが、自身が年齢を重ねるにつれ、その言葉がどんどんと自身に染み付いているように感じます。
未だに、このことを話していると感情が高ぶって涙が出そうになります。
人といて生きていく中で、物凄く大事なことを教えて頂いたように感じる一瞬でした。
ただ、今でも後悔していることは、逃げるように帰ってしまったことです。
(翌年に同じ海に行っておじさんを探しましたが、いらっしゃらずでしたね。)



ということで、お弁当屋さんが8月限定で鰻を注文できるようになっていたので頼んで、新入社員と私と4名で鰻を食いました。
ボディボードのスキンヘッドのおじさん!あなたがくれた5,000円は今、鰻となって、我々のお腹と心を満たしてくれています。
ありがとうございます。



きっと、おじさんは「教え」なんて大それたことを伝えたかったなんてことはみじんもなかったのでしょうが、
私はそのおじさんから「人としての生き方」を教えて頂いたように感じております。
数十年生きてきたある一日のある一瞬を記憶に焼き付け、その人物の行動原理に影響を与える。
私もいつか、「そんなつもりないのに、相手の人生や行動原理に影響を与えるかっこいい漢になりたいな」なんて寝言を言いつつ、
「鰻を食べた」という事実をブログにあげるためだけに、かなり回りくどい書き方をしたなと、最後の最後に思った私でした。(真似しないでね)