E資格受験記
先日日本ディープラーニング協会のE資格を受験した。ディープラーニングのG検定は2018年に取得していたが、その後いつかは
次のステージと思っていた。術後の体調ももどりつつあったので、一念発起してとりくむことにした。
E資格受験には協会の認定したディープラーニングの講座を受講、修了しなければならない。がこれが結構高額である。知り合いの方には
こうした業界囲い込み的な仕組みに批判的である人もいるのも現実である。しかし、合格率が比較的高いのもこうした学習せざるをえない
仕組みがあるからともいえる。また、この数年で検定の開始された当初はよりは廉価な講座もでてきたこと。今回はいくつか比較して
zero to one社の「スピードプラン」を選んだ。(それでも7万円程度する。)最近はさらに廉価なチャレンジ講座もあるようだが、
各単元の修了要件が厳しめで、体力的な自信もなかったので、ここに落ち着いた。
講座は4月開講、8月末まで約5か月の準備期間であった。以前に統計検定2級を取得していたことから基本的な統計や機械学習の知識は
ゼロではなかった。またたまたま年初からこれも一念発起して強化学習の学びも始めていたこともあり、講座期間中はもっぱらディープ
ラーニングの領域を中心に進めた。実は少しずつ進めていた強化学習がなかなか手強いもので、「ゼロからつくるディープラーニング(ゼロつく)の強化学習編④」を中心に、関連図書を4、5冊並行していきつもどりつ読み進めていた。結果的には完全に習得しないまま講座に着手したが、深層強化学習の範囲までゼロからすすめていたら、期間にまにあわなかったかもしれない。
E資格ではG検定より進んでプログラム実装に関係する問題もでるため、講座でもTensorFlowまたはPytorchのどちらかを選択することに
なる。昨今はすっかりPytorchが主流に成りつつあることもあってそちらを選んだ。とはいえ、特有の自動微分の考えなどなかなか取っつき
にくく、赤石さんのPytorchの著作などにもお世話になった。
そもそもPythonにも久しく触れていなかったので、感覚を取り戻すために、「Pandas100本ノック」といったデータ処理系のサイトにある
問題や、UdemyでベストセラーのかめさんのPython講座を一部復習した。そのために実際の講座に着手するのには1か月ほどかかった。
講座は動画によるオンラインでの説明の他、穴埋めを中心としたプログラム実装の練習問題が用意されている。このプログラムの理解に
生成AIが役に立ったのは言うまでもない。読解不能なプログラムの解説など、数年前では調べるのにそれなりに時間がかかったものも、
すぐにヒントがえられる。こういうときに隔世の感を感じる。それでもいくつかの問題では解答が分からず、練習問題に組み込まれたヒン
ト機能も分からなかったので、途中数週間行き詰まりに陥り、修了をあきらめようかとも思った。
こうした講座と並行して、常道といわれる「ゼロつく」シリーズの①②④⑤にも目を通した。とくに①は販売当初から積ん読状態だった
が改めてよくできた書籍であることを実感した。また並行してyoutube の各種シリーズ(よびノリ、アイシアなど)にも大変お世話になった。とくにアイシアソリッドのYoutubeがここに来て強化学習について特集してくれ、それぞれの手法の差違がようやく分かってきた感がある。
さらにUdemyのかめさんの統計につづくディープラーニングシリーズも合間を見て受講を進めた。またプリファードの岡野原さんの
「ディープラーニングを支える技術①②」は完結な記述のため当初読みこなすのが困難であったが、徐々に要点を押さえてある良書である
ことも分かってきた。また今年になって発売された「ゼロつく⑤」の生成モデル編は、確率の初歩から拡散モデルに至るという壮大な
説明の展開の流れも大変よくできた著作であることを感じた。
講座も演習問題を進めると同時に、これも外せない「問題集(通称黒本)」にも着手した。解説を完全に理解するのが難しく、問題そのものを覚えてしまう過学習気味のところもあったが2~3周こなした。
そうこうしているうちにあっという間に9月1日の受験日になった。物体検出の原理など、問題集の暗記といった表面的理解では太刀打ち
できない問題も結構あり、本当の意味での理解を迫られる良問であると感じた。
講座を通じて、いままで食わず嫌いで距離を置いていた理論にも触れざるをえず、以前より全体の関連といった見通しがよくなったこと
を感じる。結果は機械学習の学習が疎かになり特に点がとれなかったが、トータルとしては無事に合格することができた。
実装力にはまだまだ課題が残るため、現在はmanabi-Questと松尾研LLMの講座に挑戦している。