たばこ部屋と背景情報

 コロナ禍でオンラインが増えたことは、多くの人が実感しているかと思います。私もオンラインのミーティングが多くなり、効率的であることを感じていますが、一方で微妙なニュアンスが伝えずらかったり、前後に雑談をすることが難しくなり、そうした歯がゆさも同時に感じています。

 記憶が定かではないのですが、風土改革の原点となったオフサイトミーティングの発祥は、もともと企業研修をしていたときに、研修の内容よりも、休憩時間に会社の他の部署のメンバーと、たばこ部屋で話をすることに価値があると感じたことから始まった、ということを聞いたことがあります。

 私はたばこを吸わないので、その実感は薄いかも知れないのですが、入社当時のその昔、社員の方と接点をつくるために、たばこを吸わないのに、たばこ部屋にいって話をしたことを改めて思い出します。

 そうしたリラックスした空間での、ちょっとした弱音や本音、そうした情報が実は組織の中でなにがおきてるかを知らせてくれる情報になったりすることはよくあるでしょう。そうしたものは、会議やフォーマルな打ち合わせでは出ずらいものもあるはずです。

 そうした、ちょっとした雑談をお互いに気軽にできる場があることも、コロナ禍ではマスクをはずすリスクということで奪われています。しかしこうした場で取り交わされる仕事の中での背景情報や、言外に現れるニュアンスというものから人間は多くの情報を読み取り、そうしたものが次の行動への心構えになっていることも多々あるでしょう。

 私自身、たばこを吸わない人が増えるなかで、こうした背景情報がお互いにちょっとしたところで交換できるかできないかで、組織の中の毛細管のような血の巡りがわるくなり、大きな問題の発見や、初動の遅さというものが現れることを日々感じます。実際にこうした背景情報の流通ができていると、(もちろんその他のいくつかの条件はありますが)フォーマルな会議よりも物事が素早く進んでいくことを実感したこともあります。野中郁次郎の暗黙知の議論の一部もこうした中に存在するようにおもいます。

 アフターコロナでのオンラインの常態化、そしてスマホ文化に代表されるテキストでのやりとりといったものが進む中で、お互いが現場でのこうした生きた背景情報を伝え合うことができる環境というのが、実は組織の力に大きく影響していると思い、そうした場をこれからどう創っていけば良いのか、大きな課題になると感じています。

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